胸腔ドレ―ン

掛かり付け医からの紹介状で、行った先の病院に即日入院となり、気が付けば私は、8階の病棟に居た。合い部屋と言えど、回りは、

後期高齢者?のおばあちゃん達ばかり、、。

ざっと、、5人も居る。

はぁ、、。

思わず漏れるため息。

頭の中は、真っ白で、ただ一つの思いは、

大阪の娘、、娘にすまないと言う思いだけで

いっぱいだった。

そんな心境の時、命の恩人から、胸腔ドレ―ンを勧められた。説明を聞きながら弱腰の私にポジティブに攻めてくる女医。

「やりましょう!」

彼女の一歩も引かない対応に押された私は、

近日、胸腔ドレ―ンの手術を受けることにした。

 

 

 

 

 

命の恩人

最初に私を治療して下さった内科の女医に

何故か心癒やされた。先生は、緊張する私

をよそに優しく語り掛けるように

「ちょっと、チクンてなるけど、ごめんね。」

そう言って、慎重に私のお腹に溜まった水を

細い針を使って採ってくれた。

私の体の負担を考えて、残りの水は、敢えて

次回に回すこととした。

「大分、楽になりました。」

本音が、こぼれた。

思えば、昨年末からずっとこの水を抱えて来たのだ。それが、やっと今、解放される、、。

喉の渇きに耐え兼ねて、看護士さんにポカリスエットを頼んだ。こんなに美味しいポカリスエットを久しぶりに頂いて、何だかとても

有難い気分がした。

私を最初に優しく包んでくれた女医。

彼女は、命の恩人。

 

意外な検査結果

程無くして、検査結果が伝えられた。

果たして、このような時にどんな

リアクションを取れば良いのか、、。

卵巣がん??」

循環器内科の女医から聞かされたそれは、

私にとって、聞き慣れないと言うか、

あり得ない?まさか、この私が、、

ましてや、がん?

意外な検査結果に戸惑う私の中で、事実を

受け入れる為の時間が必要だった。

 

 

検査に明け暮れて

さて、それからと言うもの毎日なにかしら

の検査が私を待っていた。

その全ては、私の病状から根本的な原因を

あぶり出し、その為の治療をやって行こう

と言う医師の計画から来ていた。

私も病名が解らないままの治療は、確かに

不安だらけだが、かと言って、、

この宙ぶらりんな状態を心の何処かで

安堵しているようなもう一人の自分が

いるのだ。

 

入院決定!!

「帰れんよ!」

若い内科の医師の半ば怒ったような言葉が

刺さった。

循環器内科の女医に引き継ぎ、問診の後、

直ぐにも肺付近に溜まった大量の水を抜い

ていく処置が成された。

「一度に抜くと、身体に影響するから

後は、残しておきますね。よく、ここまで

我慢しましたね、、。」

優しい女医の声に救われた気がした。

紹介状

紹介状。大きな病院へ送られたそれがないと

一般外来さえも予約を断られる昨今の厳しい

現実。

「紹介状は、お持ちですか?」

受付のキレイなお姉さんが優しく言って

来る。

「こちらに先生が、送って下さってます。」

調べて貰っている間も息苦しさが、やって来て、もどかしい時が流れた。

「予約、明日になってますね?」

そんな、、。何かの手違いだろう?

例えそうだとしても私には、今日しかなかったし、確かな自信もあった。医師から直通の

紹介状、これが、何よりの私の強みだ。

結局、予約は、明日になっていたが、本人も

来てしまっているという事で、通してもらった。

 

予感的中

先生から「即、入院レベル!! どうしますか?」そう言われ私は、確かに普通の医者だったらそうだろう。この病院のスタンスは、入院の意思をあくまで患者に委ねるだ。

正直、このまま入院すればどんなにか楽だろう、、。だが、私の口から出た言葉は、

「先生、入院は、、どうかひとつ、、。

通院という形を取らせて下さい、お願いします。」

とはまぁ、よく言ったもんだ。

「そうですか、、。何かあったら私にすぐ

連絡下さい!!」